デザイナーがおすすめしていた本、実際に読んでみた。 vol.3
これまでにこのアカリヲノートでデザイナーがおすすめしていた本を実際に読んでみたらどうなるか? を実証実験してみようと思います。筆者の私はコピーライターのため、非デザイナーであります。職域が異なることで感じることも違えば、自分の仕事へ活用できる気付きが生まれることもあるでしょう。幅を広げるためにも良き体験としたいと思っています。「関係ないから無駄」と可能性を狭めていませんか? 広げましょう、自分の可能性。
読んでみた本)
デザインの言語化 〈クライアントの要望にこたえる4つのステップ〉
こげちゃ丸 著
言語化と聞くと、拒絶するデザイナーは多い!?
何事も言語化や説明することを求められるコピーライター。ディレクターとしても活動している筆者としては、概要の説明、進捗の共有、要望の聞き取り、チームへの周知など、事あるごとに状況や状態の言語化は必要になります。打ち合わせ時にもデザインについて言語化が求められることも少なくありません。となれば、デザイナーにデザインの言語化能力があると、話が進みやすく、共感・共有をしやすいとも思ったので、今回はこの本をピックアップしました。デザイナーあるあるとして、デザインの言語化は苦手な方が多い印象です。口頭での説明や説得、アピールよりも絵や見せ方で勝負しているデザイナーにとっては、「なぜ、言葉が必要なのだ!? 」となるのは、分かる気もします…。とは言え、デザイナーはアーティストではないので、案件を担当する者として言語化能力は、何よりも重要なものだと感じているはずです。
デザインは、関わる人々、皆でつくり上げるもの
一般的なイメージですと、「デザインとは、要望やお題目を伝えるだけでデザインが仕上がってくるもの」と思っている方も少なくないと感じます。実際はそんなことはなく、いろいろな意見、さまざまな要望を反映しつつ、トンマナや伝えるべきものの優先順位、セオリーなどが複雑に絡み合い、その中で最適解を“見つける”作業を多分に含みます。抽象的な注文、フィーリングを求められる、「なぜ」に対する答えなど、むしろ言語化はデザイン業務に欠かせません。その辺りのあるあるややるべきこと、適したHOW TOが本書には記されています。まさにデザイナーにとってのコミュニケーションの教科書。うまくいかない要因は、デザイナーのセンスやスキルが足りていないのではなく、コミュニケーションや言語化能力が不足しているところにあるのかもしれないと思える内容でした。
ディレクターこそ、必読の一冊かもしれない
著者のこげちゃ丸氏は、商品デザインからビジネスコンセプト提案まで、幅広い領域で20年以上クライアントワークに従事されている方。その経験をもとにデザインの言語化をテーマにしたコラムも連載されています。しっかりとした体験と経験による産物をさらに言語化しているため、共感と発見がかなり詰まっています。例えば、コンセプトの必要性・重要性、軸があることで腑に落ちるデザインであること、「なんとなく」「こっちの方がおしゃれ」など抽象的なものは好みが発生してしまう、デザインの意図を伝える大切さなどが、書かれています。案件概要を知るヒアリング時、実際のデザイン業務に着手する時、打ち合わせ時、プレゼン時の注意点、終わらない修正ラリーを避けるポイントなど、実践的なものも多いので、効率化を図りたい方にもおすすめできる内容でした。伝えたいことを、より伝わりやすく、伝えるための一冊は、クリエイター全般に共通するとも思えたので、非デザイナーもぜひ読んでみてください。